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2009年6月16日: 安全性を保証するC言語処理系の新版を公開

【RCIS 2009年6月16日発表】

産業技術総合研究所 情報セキュリティ研究センター(RCIS)は、 メモリ操作に関する安全性を保証する ANSI C 言語の処理系「Fail-Safe C」の新版(Version 1.5)を、 6月16日より一般に公開します。

同研究センター ソフトウェアセキュリティ研究チームの大岩 寛 研究員が開発した Fail-Safe C は、 ANSI/ISO/JIS の C 言語規格への完全準拠と既存プログラムとの高い互換性を実現しながら、 メモリ操作の完全な安全性を保証し実行状態の破壊や乗っ取りに繋がる全ての危険な操作を防止するものです。 前版にあたるVersion 1.0は、2008年4月より一般に公開しています。

今回公開する Version 1.5 ではC言語の標準関数への対応を更に向上させ、 同処理系上で動作するプログラムを増加させたほか、 ARM, MIPS などの組み込み開発環境でよく使われるプロセッサへの対応を図りました。 ARM, MIPS 向けの Fail-Safe Cコンパイラは、それぞれのCPU環境上で直接動作するほか、 通常の高速な計算機環境であらかじめプログラムを作成し組み込み環境へ適応させる、 いわゆる「クロス開発」にも対応しています。 また、今回のバージョンより利用許諾規約を見直し、より広範な環境で利用することを可能にしました。 組み込み環境およびクロス開発環境への対応は、科学技術振興調整費「組み込みシステム向け情報セキュリティ技術」の研究プロジェクトの一環として行いました。

RCIS では引き続き Fail-Safe C の研究開発を進め、同システムの実用化と一般への普及を目指します。

なお、「Fail-Safe C」の技術的詳細については、6月16日(現地時間)よりアイルランド共和国・ダブリンで開催される「プログラミング言語の設計と実装に関する国際会議(PLDI2009)」で発表されます。