お知らせ: 情報セキュリティ研究センターは、2012年4月1日にセキュアシステム研究部門 (2015-03-31 終了) に改組されました。
2015年4月1日現在、一部の研究は情報技術研究部門に継承されています。

研究テーマ
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電子透かし用結託耐性符号に関する研究

概要

音楽の有料ネット配信や電子図書館のように, ネットワーク上で著作権 を有するディジタルデータを提供するサービスの場合, サーバから正規にデー タを手に入れたユーザによる不正な再配布が行なわれる可能性を考慮する必要 がある. この行為は暗号化通信を使用するだけでは防ぐことができない. ディ ジタルデータは劣化なく, また簡単にコピーすることが可能なため, 不正コ ピーその行為自体を防ぐことは事実上不可能である. このような行為の抑止を目的として,「電子透かし」と呼ばれる「ディジタル データに別の情報を埋め込む技術」を利用することが考えられている. この目 的の場合には, サーバがデータを配布する際, 配布先を示す情報がデータに埋 め込まれる. このようにすることにより, 不正コピーされたデータをサーバが 発見したとき, その埋め込まれた情報を確認することで不正コピーを行なった ユーザを特定できる.

埋め込まれる情報として, 単純にユーザ ID を数値化したものを利用した場 合, 正規にデータを入手したユーザが複数結託しそのデータを比較することに より, データ中どの部分に情報が埋め込まれているかを容易に特定することが できる. またその結果, 結託したユーザにより埋め込まれた情報が消去される 可能性がある. あるいは,「結託したユーザとは異なるユーザを示す情報」が 埋め込まれたデータをつくることすら可能となる場合も考えられる.

我々は, このようなユーザの結託による不正に対応できる, 埋め込まれる情報 の構成法, すなわちユーザ ID から埋め込まれる情報への変換法(符号化法) について研究を行なっている.

担当研究者

  • 北川 隆
  • 縫田 光司
  • 萩原 学
  • 渡辺 創

協力, 謝辞

この研究の一部は, 経済産業省「新世代情報セキュリティ研究開発事業:ユビキタスネットワーク向けセキュアアセットコントロール技術の研究開発」の一部として行われている.

また, この研究の一部は, 科学技術研究費補助金(若手研究(B), 課題番号:16700021, 課題名「不正行為に強い耐性を持つ電子透かし情報符号化法に関する研究」)により行われている.

主な研究成果

  1. H.Watanabe and T.Kitagawa, ``An ID Coding Scheme for Fingerprinting, Randomized c-secure CRT Code,'' Proceedings of ICICS2002 (Fourth International Conference on Information and Communications Security), LNCS 2513, pp.173--183, Singapore, Dec. 2002.
  2. H.Watanabe and T.Kitagawa, ``A Random-Error-Resilient Collusion-Secure Fingerprinting Code, Randomized c-Secure CRT Code,'' IEICE Transactions on Fundamentals, vol.E86-A, no.10, pp.2589--2595, Oct. 2003.
  3. M.Hagiwara, G.Hanaoka, and H.Imai, ``A Short Random Fingerprinting Code Against a Small Number of Pirates,'' Proceedings of AAECC2006 (16th AAECC Symposium Applied Algebra, Algebraic Algorithms, and Error Correcting Codes), LNCS 3857, pp.193--202, USA, Feb. 2006.
  4. K.Nuida, M.Hagiwara, H.Watanabe, and H.Imai, ``Optimization of Tardos's fingerprinting codes in a viewpoint of memory amount,'' Proceedings of IH 2007 (9th Information Hiding), LNCS 4567, pp.279--293, France, June 2007.
  5. K.Nuida, S.Fujitsu, M.Hagiwara, T.Kitagawa, H.Watanabe, K.Ogawa, and H.Imai, ``An improvement of Tardos's collusion-secure fingerprinting codes with very short lengths,'' Proceedings of AAECC-17 (17th Symposium on Applied Algebra, Algebraic Algorithms and Error-Correcting Codes), LNCS 4851, pp.80--89, India, Dec. 2007.